これからは、「山登り」ではなく「波乗り」の時代
地図を開いて、山の頂上を目指して、行き方を決める。
そして、そのシナリオどおりに山を登る。
その山は今はない。
今は、刻々と状況が変化する。
昨日の常識が今日の非常識となる。
昨年立てたキャリアプラン通りに行かないほど選択肢が増えたり、
昨年立てた三ヵ年計画の戦略も市場の変化によって書き換えを余儀なくされる。
ドックイヤー から シカダーイヤー【蝉の年】へ。
それほど状況が変わる時代を生きていく事は、
山登りというよりも、むしろ波乗り。
次から次へと押し寄せてくる波をいかに渡っていくか。これが大切。
波は、どんな波になるか分からないいわゆる「偶然の産物」
この「偶然」を積極的にマネジメントする戦略をとることが大切。
山登りは、極力、偶然を無視したり排除したりする方法。
この「偶然」をひとつの「ゆらぎ」として受け止め、積極的に受け入れて、組織の自己組織化をうながし戦略の進化させる。
単に、波に流されるままではなく、
波をうまく使って、自分の目指すべき方向をしっかり見据える「意思」を持つ
ここに「偶然」と「意思」の弁証法的な思考がある。
参考文献
~まず、戦略思考を変えよ ダイアモンド社 田坂 広志~
この事はとても身に沁みます。
新規事業を立ち上げた時、もちろん年間の数値目標、年間PLがあり、それに沿ってシナリオを描き、行動をしました。
クライアント側にはこれくらいのニーズがあると言われてはじめたことでした。
こちらの打ち手が当たり、供給は難なくできるようになりました。
しかし、需要ががた落ちしました。
クライアント側とも話が違う!という議論にもなりましたが、
「状況が変わった」
ということを何度も言われました。
一時は、このこと自体撤退するという議論にもなりました。
しかし、クライアント側との共通認識は、
「いつか必要になるスキームである」
ということでした。
これがせめてもの救いであったかと思います。
まずは粛々とこちらの開発したスキームを受け入れられる力量のあるメンバーから徐々に広げようという事になりました。
PLを何度書き換えたか分かりません。
毎月、この実験は止める。
とか、
ここの地域に広げるのは一旦よそう。
とか、
こういう形らなら受け入れられるのではないか
とか、
削ったり、足したり、予算利益は守りながら、苦しい戦いをしてきました。
はじめに目指した頂上はもはやありません。どこを頂上にすればいいのか?という気持ちにさえなりました。
徐々にクライアント側で新しい考え方を理解する人が増えてきました。そして、昨年12月過去最高の成績を残しました。
ここまで来るのに、一年半かかりました。
クライアントの言う事は正直2週間先になるとひっくり返る事があり、本当に振り回されました。
ただ今、この本を読んで、僕は「山登り」をしていたなと反省します。
年間予算があって、これを保障してくれるような、オーダーがなければやれないと思っていました。
偶然の排除、市場の変化など関係ない、といった気持ちがどこかにあったかもしれません。
自分が偉かったのは「あきらめなかった」ということではないかと思います。
山登りの思考をしていたが、偶然行動は波乗りだったのだと思います。
これらの偶然、市場の変化を文句言いながらも受け入れて、ただ忘れなかったのは、
「今後の、この会社の人材活用戦略のあり方」
そこに僕は意思を持っていました。だからこそ、クライアント側も徐々に理解を示し、力を貸しはじめてくれました。積極的に橋渡しをしようとしてくれる人物が現れました。
その人がいなければ、頓挫していたかもしれないです。
偶然と意思の弁証法。
山登りではなく波乗り思考。
今なら、このことの言っている意味がすごくよく分かります。
新規事業という大変な仕事をやらせてもらった事にとても感謝します。