日々是成長

~Now And Here~

A部長との思い出その4 『お前のメガネで人を判断するな。相手の真実を見つめる』

母店店長として初めて新卒を受け入れたときの話し。 3名の新卒を私の店で受け入れて、初期研修として3ヶ月間いろいろなことを教えた。

たった3ヶ月。 本配属になった時に困らないようにと、なるべく多くのことを身につけてもらいたかったので、 必然的に私の指導にも熱が入った。

その反面、1ヶ月も過ぎると3人の新卒達にも疲れの色が見え始める。 期限までの仕事ができずに漏れる。やるべき事をやり切らない。

私は、入社して8ヶ月で店長になった。 最速ペースに近いだろう。 それは、一日も早く店長になりたかったし、 休んでる場合じゃないと言う気持ちで、休日も店に出てどんどん仕事を覚えていったおかげだろう。

私は、その基準を新卒達にも求めてしまった。

例えば研修用の課題。 業務日にできなければ、休みの日を使ってでも終わらせる。 それが私のスタンスであった。

新卒達には週休二日を与えている。 休みを使えば、課題など終わらせられる。 しかし、休みの日は仕事のことをせずに休んでいる。 結果、課題は終わらない。

そのようなことがあった。 課題未提出者リストに彼らの名前が載り、当然私は店長会議で部長に追及される。

そこで私は言い訳をした。 『週休二日与えています。休みの日にやればいい。少なくとも私はそうしてきた。 やれないのは彼らが甘いからだ。』

そして、A部長に私は怒られる。 『小泉それは違う。お前の基準で彼らを測るな。お前のメガネで彼らを判断するな。 人はそれぞれ違う。それぞれに事情がある。それぞれに、その人だけの真実がある。

例えば、お前は彼らの一日のタイムスケジュールを把握しているか? どんな時間の使い方をしているのかまで寄り添って見てあげているのか? 体調面で気にしていることを把握しているのか? 何が嬉しくて、何が嫌で、どんなことに興味があってそこまで分かっているか? 人を預かるというのはそういう事だ。一緒に考えてあげる。そこまでやるから母店店長だ。』

私は反省した。 確かに、こちらから伝えたい、教えたいということばかりを一方的に発信し、 彼らの事の理解は足りなかった。

寄り添うってそこまでしなければダメか。。。と正直思ったが、 お預かりした以上、とことん引き受けなければならないのだと反省する。

よくよく聞くと、一人の新卒は体調面での不安を抱えていた。 そんなことにも配慮してあげられずに、私は彼らに教育をしようとしていた。

その数年後、ミキ様から有限責任無限責任という言葉をもらう。 確かに一生付き合うわけではないから、私の責任は有限だろう。 しかし、そのお預かりしているその瞬間は、無限責任を背負った気持ちで正対する必要がある。

自分のメガネで世界を見ずに、相手の真実に目を向ける。 本当に難しい。一生の修行のように思う。