ホロンとは、アーサー・ケストラーの造語であり、ギリシャ語のホロス(全体)とオン(部分)を合成した言葉である。
生物体は、分子、細胞、組織、器官という階層構造を持つ。しかし、それらは、より上位の組織、器官、生物体などに対しては、「部分」としての役割を担って互いに調和かつ統一的に働きながら、
より下位の分子、細胞、器官に対しては自立的な全体として振舞う。
こうした状態を「ホロン的」とようぶが、この状態において表れる特有の現象は「引き込み」である。
例えば、心臓のかく心筋はそれぞれ自主的なリズムで動いているが、各心筋間でのリズムの「引き込み」を生じ、心臓全体で統一的な独自のリズムを生み出す。
こうしたホロンの考え方は、企業経営の領域のおいても新しい組織論として近年注目を浴びている。すなわち、各社員が企業という「全体」に対して、「部分」として調和的かつ統一的に行動し、効率を高めながらも、
それぞれの担当部署においては、下位の「部分」に対する「全体 = 個」として自立的に活動し、「個」としての個性と創造性を発揮する事を可能にする新しい組織を
「ホロニック組織」「ホロン型組織」と呼ぶ