なぜ、「野心」ではなく「志」という言葉に惹かれるのだろう。
なぜ、己一代で何かをという気持ちではなく、何代にも渡ってその意思を継いで行こうと思うのだろう。
という事を考えていました。
田坂先生は、「志」という言葉が書かれたコインの裏側には、
「使命」
という言葉が書かれている。
とおっしゃっていました。
僕のコインの「志」の裏には何が書かれているのだろう?
と思ったら、
分かりました。
「伝統」
この言葉が書かれていました。
20歳になった時に、父親と飲みに行きました。自分の息子と酒が飲めるようになって父親は大変喜んでいました。
その中で、父がこんな事を言っていました。
「お前がとうさんに、感謝してくれているか分からない、尊敬してくれているか分からない。ただ、もし少しでもそう思っているならば、とうさんに対して恩返ししようなんて思わなくていい。
その気持ちは、後輩や自分の子供たちに注いであげなさい。
それが、
伝統
というものだよ。」
ん~自分の父親ながらなかなかいい事を言うと思っていました。
その言葉が、根底にあったのでしょう。
やはり、基本的に誰かにものを伝える、自分の知識を惜しみなく出す。という事は、無意識にやってきたと思います。
それは、親、先輩、先生など自分よりも先に生まれた方々から受けた愛情への感謝を、諸先輩方に返すのではなく、後輩に注ぐという形で諸先輩への感謝を表現していたのかもしれません。
このことは、誰しもやっていますよね?
例えば、先輩にのみに連れて行ってご馳走になった。
自分は、先輩におごらないが、
後輩に対してご馳走をする。
これも立派に先輩への感謝を後輩へ表現している事だと思います。
こうして僕らは、先輩達への感謝を次代に対して表現していく事が大切なのだという事を学びます。
だからこそ僕達は、先人達が作ってくれた日本という国の環境に感謝をし、それを後輩達に対して表現していく事も同じ意味で大切なのだと思います。
この幸せは、自分だけ享受すればいいのか?
それは違う。
絶対に違う。
僕達は、自分の次代に大切にバトンを託していかなければならない。
だから、「野心」じゃない。
だから、「志」なのだ。
そういう風に思います。