日々是成長

~Now And Here~

主人と奴隷の弁証法

主人が奴隷に、壺を作れと命じる。 壺作りに興味を持たない奴隷は不満であるが、主人の命令である。 しょうが無いと、奴隷は強制されて壺を作り始める。 主人は奴隷に、連日連夜繰り返し厳しく壺作りを強制する。 その繰り返しの中で、主人と奴隷の間に逆転が起こる。 主人は自分自身の強制と命令の奴隷となり、 人間性を喪失する。 管理するということの奴隷になる。 他方、奴隷は、当初はなぜ壺作りなどせねばならないのかと 不満であったが、次第に興味を持ち始める。 壺作りそのものが自らの喜びとなり、自己実現になってくる。 こうして、主体性を奪われていた奴隷の方が主体性を回復する、 という逆転が起こる。 (日米戦争と戦後日本、p181-182より)