ヘーゲルの弁証法の法則の一つに、事物の螺旋的発展というものがあります。 螺旋階段を上る人を想像してください。 その人を横から見ると、確かに上に上っていくように見えますよね。 その人を、真下から眺めてみると、円を一周してまた同じ所に戻ってくるように見えます。 螺旋的発展というのは、原点回帰をするが、一段上がった状態で回帰するという意味です。 簡単に言うと、古きよきものが復活してくるというとイメージがつきやすいですね。 例えば、ネットオークション。 オークションは昔からありました。しかし、閉鎖された空間でその空間のキャパ内でしか取引がされませんので、商品流通の仕方としては、発展するものではありませんでした。 ところがウェブ2.0革命によって、そのオークションが、インターネットを通じて世界中の人が対象となって開催することができるようになりました。 一段上がって、回帰しています。 というように、世界が一段上がりながら原点回帰していくならば、 人間の精神だって一段上がりながら原点回帰していくのではないかと思うわけです。 例えば、昔は自分中心に考えていました。自分さえよければいいとか、誰かに迷惑をかけなければ何をやってもかまわないと思うこともありました。しかし、それでは壁に突き当たる。 自分は周りに生かされているのだという思いが生まれ、自己犠牲とか誰かの為に何かをしなければならないという気持ちに精神が発展していく。 誰かの為にをし続けていく中で、何で俺はこんなに誰かの為にがんばっているのだろう?という迷いや、報われないかもしれない努力をしてるのかもしれないという疑問が生まれてくる時期がある。 しかし、更に続けていくと突き抜けていく。 誰かの為にやったことが、自分の為にもなっているという事に気付き始める。 自分の為にやるという状態が一段上がって原点回帰してくる。その『自分の為にの精神』の中に同時に『誰かの為にの精神』を宿して生きることができるようになる。 そんな精神の螺旋的発展を見ることができるのではないかと思うのです。