では、師匠から「全体バランス」を学ぶためには、どうすればよいか。
師匠とは、同じ部屋の空気を吸え。
『成長し続けるための77の言葉』 より
まさに今、師匠と同じ部屋の空気を吸っています。
デジタルな世界では伝わらない、
アナログな世界。
所作や話しかたの間やリズム。
実際に同じ空気を吸う場でなければ、学ぶことができない。
ただ、一方で学ぶ側の姿勢も問われると思っています。
どんなに、優れた師匠からでも学べるものは、弟子の心掛け次第。
日本辺境論の中に、
こんにゃく問答の話が紹介されていました。
旅の学僧と住職に化けた無学なこんにゃく屋の六兵衛さんのやりとりです。
僧が指を丸を作って胸の前に置くと、
六兵衛さんは大きな輪をつくって応じます。
僧が指を十本立てると、
六兵衛さんは五本の指を差し返します。
僧が指三本突き出すと、
六兵衛さんは自分の目を指します。
学僧は大変感心して去って行きます。
学僧はの理解としては、
第一問は「胸中はいかに」でした。
それに対する答えは、「大海のごとし」でした。
第二問は「十方世界は」
それに対する答えは、「五戒で保つ」
第三問は「三尊の弥陀は」
それに対する答えは「眼下にあり」
なんと深遠な答えなのかと仰天したのです。
しかし六兵衛さんの理解は、
第一問は「お前のところのこんにゃくはこのくらいだろう」
答えは「ばかやろう、このくらいだい」
第二問は「十丁でいくらだ」
答えは「五百文だよ」
第三問は「三百にまけろ」
答えは「あっかんべえ」
いかがだろうか。
笑ってしまうが、笑い事ではない話です。
結局、学ぶ側の心持ち次第。
よき師匠に出会い、同じ空気を吸えても、
学ぶ側の姿勢で、師匠を生かしも殺しもする。
その事を忘れてはいけません。
学びは、あくまで能動的。
誰かに与えられる、教えてもらえるという受け身の姿勢では
いけないのですね。