自力と他力は二項対立するものだろうか? 自力というのは、結局他力に内包されているもの。
他力というのは、何でも人任せにするという安易な言葉ではなく、 自然【じねん】と似た意味で、
ことおのず【自】からしか【然】る。 ということに対して、身を任せていくということだと思います。 自力という言葉、他力という言葉を見た時に、常々語っている言葉たちが垣間見えます。
アビリティーとコンピテンス。
アビリティーはつまり、自力の世界。 1人で何かができる能力。 しかし、その自力には限界がある。1人でできる事なんてちっぽけだし、1人で物事が動くほど単純ではない。 コンピテンス 集団の中で自分の力を発揮していく能力 つまり、他力の世界。 他力に依存しながらも、自分の目指す方向、望む方向に向かっていく力というができる。 つまり、コンピテンスを発揮する時自分のアビリティーも発揮している。 野心と志。 野心は自力の世界。 己一代で、何かを成し遂げようという願望は、自力の世界。 志は他力の世界。 己一代で達成されなくてもいい。その意思が後世にも伝わり、その後世において自分の意思が成されればそれでいいという祈り。 他力本願と言っていいと思う。 野心とは、志に向かう前の未熟な思想。
そう捉えるならば、決して二項対立する言葉ではない。 仕事は1人ではできない。
同じ思いを持った仲間が集まり、組織し、役割分担をして目的を達成する。 役割分担をする事自体、他力に依存している。
しかし、その中で自分の力も発揮するし、自分のやりたい事も達成する。 よって、自力と他力は二項対立するものではない。 自分は、独立するものではなく、他力の上に成り立っているのだという事が理解できると、また世の中の見え方が変わってきます。