奇跡のりんごを9割がた読み終えています。
本当に感動しています。ちょっと涙しました。 農薬を使わないりんご作りは不可能である。という常識と5年間戦い、やっとの思いで無農薬りんごを作るヒントを得た木村さん。 その答えは土にありました。もっと言うと、自然にありました。 農薬を使う事によって、害虫や病気からりんごを守り無菌状態をつくってりんごが何のストレスも無く育つ状態をつくるということは、 それ自体、自然からの切り離しであり、りんご畑を一個の独立した世界にしようとする事だと思います。無駄をすべて排除し完璧な世界を作る事に似ています。 しかし、自然というのは無駄なものなどないわけです。害虫と呼ばれる虫もそれは人間都合で害虫と呼ばれているだけであって、『生態系』を構成する重要な要員なわけです。 りんごの為にと思ってやっていた害虫駆除や雑草抜きが、かえって生態系の中のりんごという存在を否定していた事になってしまっていました。 そう捉えると、最も生命的な活動が起こるのはカオスの淵であるという言葉の意味がよりいっそう深まります。 カオスとオーダーの絶妙なバランスが生態系であって、そこから一個を取り出して、その対象だけの完璧な世界を作る事は返って生命活動を妨げてしまう結果になってしまうのだと思いました。 組織の仕組みも同じです。 システムを入れて、完璧な仕組みを作れば作るほど、逆に組織が膠着したり、考える事をやめてしまいます。ボタン一つで事がうまくすめば楽ですが、新しい発想や改善の意識が生まれません。 だからこそ、組織もソフトなほうがいい。 大方針とこれだけは譲れないという線だけ明確にして、後はそこを組織する人間が自ら主体的に考えて行動するようにしていくほうが、進化し続ける組織ができあがる。 そんな事をこの本を読んで思っています。