社長のメッセージで、
「事業には、その事業に魂を吹き込める者がいるかが重要だ。」
そのわずかな差が、その事業を成功に導くかどうかの分岐になるということをおっしゃっていました。
その中で歯医者のたとえ話がありました。
歯医者で歯を削り、銀歯を入れる。
銀歯を入れた後、最終調整をする。
磨いたり、
削ったり、
そして、カチカチと噛み合わせを確かめて、フィットするまで続ける。
事業というものも、この最後の微調整をする所に、魂を吹き込むということが成されるのだと思います。
大枠のスキームはある。
それを、その歯、その歯にあわせていかなければならない。
それはつまり、誰かの成功事例をそのまま真似したって、
どんなに、素晴らしい戦略だって、
魂込める人がいないと成り立たないということだと思います。
先日、媒体業者の担当者の方から、こんな事を言われました。
いろいろな所で短期登録のアルバイト募集をされていますが、こんなに長く続いているのは、御社だけですね。
なんだか嬉しかったです。
一年半前に、この事業絶対必要だからやらせてください!!!と手を上げて、できなきゃ会社辞めます!
といって乗り込んできた本社。
大枠のスキームは、経験者の上司が立ててくれていました。
それを実行する、つまり魂を吹き込むのが自分でした。
短期OKのアルバイト、接客より裏方、シフト自由自在。
今までの外食のアルバイト採用の常識を覆すものです。
今までのアルバイト採用の前提は、
長期前提、接客好き、シフトは固定パターンを守る。
全く逆。
でも、少子高齢化社会を見据え、労働人口の減少、しかし外食レストランの店舗数の増大という時代背景を見ると、今までの常識では人が採用できない時代となります。
あと、7年もすれば、3人に1人が60歳以上。そんな時代です。
また、働き方の価値観も多様化しています。
だからこそ、いろいろな属性の人達をお店に迎え入れて営業をしていかねばならない。
店長達に要求されるマネジメントの質が向上しました。
僕はたまたま、オープン店長を務めた時に、アルバイト採用が間に合わず、毎日毎日、短期の派遣メンバーに協力してもらった経験があったので、この重要性を身に沁みていました。
しかし、やはり今までとタイプの違うアルバイト採用方法だけに、最初はなかなか受け入れてもらえず、本当に苦労しました。
最初は、深夜帯のヘルプから始まりました。
営業時間が3:00までで、始発までの仕事がないという問題。
ヘルプメンバーと自店メンバーの時給格差の問題。
単純に能力的な問題。
売上と使える人員の問題。
一度頼んだら断ってはいけないというルールに対する融通のきかなさに対する問題。
などなどあげればきりが無いのですが、徐々に縮小せざるを得なくなりました。
やっている事、考えている事はあっている。でも、今の現場にそぐわないよ。
こんな声が聴こえてきました。
ロジックだけでは成立しえない世界を見ました。
必要だけど必要じゃない。
重要だけど緊急じゃない。
やっぱりお店が求めるのは、
即戦力であり、ある程度接客ができるメンバーでした。
まさに矛盾との戦い。
そこで、役割分担のはっきりする、営業のピーク帯にて、単純作業を担うというスキームに変更しました。
仕事内容も、料理提供はやっていただこうということにしました。
研修制度も、質を上げていきました。
まさに、
削って、
磨いて、
削って、
磨いて、
の繰り返し。
僕の思いに共鳴してくれる、社員が現れました。周りに対する影響力があり、僕の思いを翻訳して店舗に伝えてくれました。
そこから、現実が一気に動き出しました。
そして、迎えた去年の12月。最高の結果を出しました。
ただ、自分の中で課題を残し、さらに第二繁忙期3月を迎えました。
12月の課題を活かし、結果は12月の記録を更新。
通年での利益を守り抜きました。
必要とされないならもうやらない
とか、
何で必要だということを理解しないんだ
とか、
助けるためにやっているのになんでだ?
という気持ちに負けそうになった事が何回かあったのですが、
続けてよかった。だんだん理解してもらえるようになってよかった。
気づいたら1年半も走っていたんだ。
それが正直な感想です。
言葉にはできない、大切な何かをこの1年半でたくさん掴みました。
あとは、この大切な部分を後輩達に繋いでいくことが自分の仕事だと思っています。
戦略は銀歯。
魂を込める人間がいないと、どんな戦略も絵に描いた餅で終わる。
やはり、仕事は
「覚悟」
そんな事を振り返る、3月の結果とこの1年半でした。