「志」を抱く。
その事を忘れてはならない。
なぜなら、「志」を抱くとき、我々は、
真に「この一瞬」を生き切ることができるからだ。
その事の意味を、一つの喩えによって伝えよう。
いま、君が、キャンバスの前に立ち、絵筆を持ち、
キャンバスの目の前の一点を貫く、真っ直ぐな力強い線を引こうとする。
しかし、その一点だけを見つめていては、
真っ直ぐな力強い線は引けない。
その線を引くためには、
目の前の一点から遠く離れたところに、目標となる一点を定め、
その目標となる一点を見つめながら、
全力を込めて線を引かなければならない。
そのとき、目の前の一点に、
真っ直ぐな力強い線を引くことができるだろう。
同様に、いま「この一瞬」を生き切ろうと思うならば、
「この一瞬」だけを見つめていては、それはできない。
「未来」において何を成し遂げるか、その「志」を定め、
その「未来」を見つめながら、
いま「この一瞬」を、全力を込めて生きなければならない。
そのとき、いま「この一瞬」を、
我々は、生ききることができるだろう。
未来を拓く君たちへ くもん出版 100ページより。