日々是成長

~Now And Here~

作用と反作用

マーフィーの法則に作用と反作用というものがある。

例えば壁を手で押すと実は壁からは同じ力で反発する力が手にはかかっているというものだ。

何かを得るためには、それなりの代価が必要である。

知識を得るにはそれ相応の時間と勉強が必要である

腕の立つ警察官になるには、同時に腕の立つ泥棒でなければならない。

業績のよい銀行員は、勝率の高いギャンブラーでなくてはならない。

自分の中にある価値観を得るには、その価値観を得る経験がなければならない。そう思います。

僕は、仕事には人の力が必要だと思っています。だから、働く人を中心に物事を考え、人を大切にできる組織を作りたいと思っています。

そう思える価値観を得たのは、やはりそれだけ人を失うという経験をしたから・・・。

店長時代、大切なメンバーを失った。そうなる前から人を大切にする店長でありたいとはもちろん思っていた。でも、そのメンバーにとっては伝わっていなかった。

新店オープン前、自分で採用したメンバーがいた。その子に一からいろいろなことを教えた。そして絶大な信頼をそのメンバーに寄せた。

その信頼が命取りとなった。

僕には隙ができていた。安心してしまった。

「あいつは大丈夫」

その子は僕に自分の気持ちを見せないでいた。僕といるときは笑顔で話していた。悩んでいるそぶりは何も見せていなかった。新店がオープンし、以前に関わっていたメンバーよりも、最近入ってきたメンバーに関わる比重が増えた。それは当然かもしれない。

でも、それが本当は寂しいのだ。メンバーも僕に迷惑をかけたくないから、大丈夫という態度をとる。その頃の僕にはそれが見抜けなかった。

あることを頼んだ日があった。

ちょっと強引だった。いや、やさしさのない頼み方だった。

彼は「はい」といつものように答えた。

そして、次の日から彼は店に来なくなった。

電話をしても、もう着信拒否。繋がらない。

その後聞いた話だが、僕のいないところで今の店舗体制への不満を言っていた。確かにその頃オープン景気で忙しく、トップメンバーに負荷をかけていた。

僕はそれを当然と思ってしまった。

あいつなら分かってくれると思ってしまっていた。

それが、いけなかった。

自分が一番信頼しているメンバーに程、関わってあげなければならない。

僕にとっては40人のメンバー。

だけど、メンバーにとって店長はただ僕一人。

そのことを忘れてはいけない。

そんな経験をして、いろいろと後悔して、僕はやっと

「人を大切にするということ」 はどういうことかを学んだ。

僕の考えていた人を大切にするという考え方は中途半端だったのだ。

人を大切にしたい。人を大切にする組織を作りたい。これが、僕の今の情熱のひとつ。