|-【仕事論】
PolicyとPrinciple~どんな理由でもだめということは、どんな理由でもいいということ。
数年前、コールセンターの統括をしていたときの事を思い出しています。
お客様から頂く、お叱りの声。
「なんでこうなったの?」
「最大の理由は何?」
正直に言うならば、理由は複合的であり、
様々な理由が重なって、そうなることが多い。
最もらしい事をお伝えしたところで、
結局お客様からは、
「そうは言ったって〇〇ってことなんじゃないの?」
とご指摘を受ける。
そのお客様の憶測は当たっている事が多いが、
それだけが理由でないことが多い。
ご説明を丁寧にさせていただいても、
頭で理解されていても、心ではご納得いただけない。
それは、ごもっとものこと。
つまり、どの理由を並べてもその瞬間ご納得はいただけない。
としたときに、どう考えるのか。
以前、大学院時代の恩師からこのようなことを教わった。
PolicyとPrincipleはちがう。
「会社の規則ですから」
「会社としてはこう考えています」
この類の発言はpolicy。
会社を盾にして、あなたの信念は語られていない。
会社がどうとか、ルールがどうとか、関係なく、
あなた個人の信念に従って言うならばという発言。
これがPrinciple。
Policyで語るとき、お客様のご納得は絶対に得られない。
理解をしてもらえたとしても不信感を残してその場は終わる。
しかし、Principleで語るならば、お客様にはその覚悟が伝わることが多い。
どんな理由を並べてもだめならば、逆にどんな理由でもよい。
そのどんな理由でもよいならば、あえてPrincipleで語らせていただこう。
私一個人の意見としましては、この覚悟を持ってお伝えしたい。
その姿勢で語れるならば、その瞬間は理解いただけなくとも、
時を置いて理解していただける事が多い。
大クレームがあった。
「大阪まで来い!」と怒鳴られた。
「それはできません」とお答えした。
その時の私の姿勢はPolicyだった。
会社のルールに従えば、大阪に行くことはできない。
お客様のお怒りは、最高潮で、
「だったら、俺が東京まで行ってやる」だった。
一度上司に報告させて欲しいと伝えて電話を切った。
上司に報告をする。
「お前はどう思うのだ?」の問い。
私個人としては、大阪に行ってでもお詫びしたい。だった。
「じゃあ、そのように伝えなよ」と上司。
私は、お客様にお電話をした。
その時の姿勢はPrincipleだった。
「お客様。上司と相談をさせていただきましたが、
そんなことは正直関係ありません。
私、一個人としてお客様にお詫び申し上げたい。
大阪に伺いますのでお日にちと場所を指定して頂ければと思います。」
すると、お客様は私の姿勢をご理解してくださった。
私は、お手紙を書きたいと思った。
お詫び状を書き、もう一度お店を使っていただきたいという
せめてもの気持ちとしてサービス券を同封した。
数日後、お客様から電話がかかって来る。
「小泉くんありがとう。また、店予約させてもらうよ」
どんな理由を並べてもご理解いただけないならば、
自分のPrincipleに照らした言葉を心を込めて伝える。
Principleに則った行動を心を込めて行う。
そう、心が整ったとき、決して間違った方向には進まない。
その事を学んだのです。