|-【108話のメッセージ】, 視点の転換

第九十話 「空(クウ)」とは何か

ひきよせて
むすべば柴の
庵にて

とくればもとの
野はらなりけり

「庵」とは、草木を結ぶなどして作った質素な小屋のことで、
僧や世捨て人などが仮住まいとしたものである。

庵は、「建築する」とはいわず、「結ぶ」といった。
そこらへんにある柴をかきよせて結んで作ったから庵になる。

もし、結び目を解いてしまえばそこには何も無い。

この歌が、明快に「空」を説明している。

庵は、あるのか、ないのか。

柴を結べば庵はある。結び目を解けば庵はない。

したがって、庵は、あるともいえるし、ないとも言える。
それと同時に、あるともいえないし、ないとも言えない。

庵の存在、有無は、「結び」にかかっている。
結べば庵はあるし、結ぶまでは無かった。

結びを解けば、庵はなくなる。

これぞ、空である。

空は、確かに無である。
しかし、それと同時に有でもある。


 


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