|-【読書】

一つ目国の悲劇

 ある旅人が、旅の途中で道を見失い、
 不思議な国に迷い込んでしまいました。
 その国は、一つ目人間の国だったのです。
 その国の住人は、誰もが、目が一つしかない人々であり、
 旅人のように目が二つある人間は、
 一人もいなかったのです。
 その国に迷い込んだ当初、
 旅人は、変わった風貌の住人を見て驚き、
 そして、しばらくは、
 彼らを不思議に思って眺めていました。
 しかし、その国で過ごすうちに、
 旅人は、だんだん孤独になってきました。
 自分だけが二つの目を持つことが
 異常なことのように思われてきたのです。
 そして、その孤独のあまり、
 ついに、その旅人は、
 自ら、片方の目をつぶし、一つ目になったのです。
 この旅人の悲劇は、決して、
 遠い彼方の国の物語ではありません。
 なぜなら、
 我々も、しばしば、
 この旅人のように、
 自ら、片方の目をつぶそうと考えてしまうからです。
 自分自身であることの孤独。
 そのことに、耐えられず、
 自分自身であることを
 やめようと考えてしまうのです。
 非常に深い話。
 自分の思いに対してどこまで貫く事ができるか。
 周りに流されず、自分を見失わず、自分であり続ける事ができるか?
 この寓話はその事を教えてくれます。
 ただ、自分を貫く事だけでは限界があることを私達は知っています。
 アビリティとコンピテンス。
 この言葉がいつでも僕の脳裏にあります。
 自分を貫きながらも、全体の中で自分の力を発揮できる事。
 この一見矛盾しそうな関係のバランスの中でこそ、力は発揮されると思っています。


2008-06-27 | Posted in |-【読書】No Comments » 
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