|---田坂 広志

「風の便り」 第96便 この国の「貧しさ」

この国の「貧しさ」
 何年か前、参議院の参考人として招かれ、
 議員の方々から、次の質問を受けました。
  国の「豊かさ」とは何でしょうか。
  どうすれば、我が国は、
  「豊かな国」になることができるのでしょうか。
 この質問に対して、心に浮かんだのは、
 ただ一つの思いでした。
  我々は、どこまで豊かになれば、
  自らを「豊かな国」と考えるのだろうか。
 その思いでした。
 半世紀を超えて戦争のない国
 世界第二位の経済大国
 最先端の科学技術の国
 世界一の健康長寿の国
 世界有数の高等教育の国
 歴史を振り返るならば、
 かつて、こうした境遇に恵まれた国は、
 この地球上に存在したことはなかった。
 我が国以上に「豊かな国」は、
 かつて、存在したことはなかった。
 そのことに気がつかない。
 それが、
 この国の「貧しさ」なのかもしれません。

【感想】

先日社内研修がありました。研修のテーマが


「私の夢」


というものでした。

研修の中で、挙手制で夢を発表したい者が募られました。

約300名の参加者の前で自分の夢を発表をさせていただきました。

その発表時に、「日本が世界で最も豊かな国と言える5つの条件」
の事を引用させていただきました。

私の夢は、


「日本に生まれたこと自体に感謝し、誇りを持ち、使命感を持って世界に貢献できる人材を育てていく」


ということです。

なぜ、日本に生まれたこと自体に感謝し、誇りを持ち、使命感を持たねばならないか
の理由として、5つの条件を引用させていただきました。

その上で現在問題意識として持っていることは、2つです。

①学校教育が限界に来ているということ
②国としての日本人のあり方がないということ

ですから、教育業界において私は、生涯の職業人人生を賭したいと考えています。

そもそも、学校教育は高度経済成長を支えるためのものであったと思っています。
同じ年齢の人間が、一斉に同じカリキュラムで教育を受ける。
そして、日本の工業化を支えるための戦力が生み出されていきました。

その時の日本人の価値観として、


「豊かになりたい、欧米に追いつきたい」


この一つの価値観の下に日本人は一生懸命働いてきました。

そして、日本は豊かになりました。もう、そんなに努力しなくても
それなりの生活ができるようになりました。

今まで日本人に共通にあった価値観は崩壊しました。

そして、時代は


「価値観の多様化」


という時代に突入しました。

様々ある価値観を認め、それを伸ばしてく教育が今後求められていくと思っています。
学校教育における一斉授業には限界が来ていると思っています。

また、どんなに価値観が多様化しようとも、まわりに迷惑をかけなければそれでよいか
といえば、そうではありません。

日本人として、どうあるべきかの軸が必要となってきます。

今なぜ、こんなにフリーターやニートが増えてしまっているのか?

それは、②の問題。国として日本人はどうあるべきか?のビジョンが無い。

だからこそ、なんとなく努力しなくても生きていける環境の中で、
自分さえよければよいという人間が育ってしまうのだと思います。

もう、日本は豊かな国になりました。自分達だけこの豊かさを享受する時代は終わりました。
これからは、この国に生まれたこと、この環境に感謝をし、その幸せを世界に還元する事が
日本人としての使命ではないかと思います。

国としての、日本人のあり方。それは、


世界に目を向け、世界に貢献できる人材を輩出する。


これではないかと思っています。

そういう人材を育てる事を見据えた教育のカリキュラム、
学校教育のあり方を実現していく必要があると思っています。

私自身まだ未熟者。簡単にこの大構想に到達できると思っていません。

まずは、突破口を見出さなければならないと思っています。

私が思い描くのは、企業がもっと学校教育に関わっていく世界です。

志し高い企業が集まり、社会人教師がどんどん出て、大学教育の場
に関わっていきます。

その授業に刺激を受けた学生達が、真剣に自分は何を持って社会に貢献していくのかを考えます。
そして、各々その思いを胸に社会人として巣立っていきます。

そこに、内定の数を競う世界はありません。
そこに、有名企業から内定をもらうことが評価されるような世界はありません。

働くとはどういうことか?
自分は何を持って世の中に貢献していくのか?

を考え抜いて自分の道を決める就職活動があります。

具体的な方法としては、インターンシップであったり、
講義・講演であったりといった形で、世の中の大学生達に問いかけていきたい。

そこを突破口として、自分の思い描く教育改革を一歩一歩進めていきたい。

それは、私一代で成し得なくてもよいと思っています。


この志を後世に繋いで行きながら、私のビジョンを達成したい。

そう思っています。

2008-06-08 | Posted in |---田坂 広志No Comments » 
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