|---田坂 広志

「風の便り」第94便 「進化」の本質

 ある会議で、二人の編集者が議論をしていました。
 「本の未来」についての議論でした。
 一人の編集者は、こう語りました。
  本という情報メディアは、決して無くならない。
  「本をひもとく」という言葉のように、
  あの頁をめくる感触、紙の手触り、掌に伝わる本の重さ、
  そして、本を読み終わって、扉を閉じるときの余韻。
  そうした素晴らしい体験を与えてくれる本というメディアは、
  どれほど技術が発達しようとも、決して無くならない。
 これに対して、もう一人の編集者は、こう語りました。
  すべてのものは進化していく。
  いずれ、本というメディアも進化して、電子ブックになる。
  いや、その本やブックという概念も無くなる。
  いまに、眼鏡のような情報デバイスをつけただけで、
  世界中の書籍や雑誌、新聞などを読める時代が来る。
 どちらも心惹かれる、二つの意見。
 この編集者の議論を思い出すとき、
 遠く離れた二つの意見を結ぶ
 一つの言葉が、心に浮かびます。
  進化とは、世界の多様化のこと。
  そして、多様化とは、
  世界が、可能性を広げていくこと。
  世界が、自由を獲得していくこと。
 その言葉が、心に浮かぶのです。

【感想】

進化という言葉を考えた時に思うことは、
進化は、全く別のものが生まれるのではなく、

進化前と進化後には、共通して残るものがある
ということです。

その共通するものを「原理や原則」というのではないかと思っています。
その原理原則に基づいて、時代の変化に応じてそれに適応するように
変化していく事が進化ではないかと思います。

私は新規事業として、外食のアルバイト採用の新しい形を提案しています。

既存のアルバイト採用は、


『接客好き、長期勤務、パターンシフト制』


が、常識でした。

現在私が提案し、根付かせようとしている考え方は、全く逆で、


『裏方歓迎、短期OK、自由シフト制』


という採用方法です。
このように間口を広げていかないとアルバイトさんが採用できない時代に
なってきました。

この常識を覆すやり方を理解してもらうのに、1年半かかりました。


そのような中、どんなにアルバイト採用の仕方が変わっていっても一つだけ変わらない大切な
事があるなと気づきました。

それは、


お店での受け入れ体制

です。どれだけ温かく、初めて働く場所での不安を取り除いて、あなたと一緒に働いて
行きたいのだという思いを込めた受入ができるか?

そこだけは、採用において変わらない原理原則です。

時代が変われば、アルバイト採用の仕方もどんどん多様化していくでしょう。

しかし、進化の過程には必ず揺るがない原理原則があるのだということを
学ばせていただきました。



2008-06-01 | Posted in |---田坂 広志No Comments » 
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