|---田坂 広志

 田坂広志 「風の便り」第92便「フォース」が現れるとき

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 田坂広志 「風の便り」 ふたたび  第92便
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 「フォース」が現れるとき
 映画『スター・ウォーズ』のクライマックスに
 隠喩に満ちたシーンがあります。
 主人公の少年、ルーク・スカイウォーカーが、
 悪の化身ダース・ベーダの要塞基地、デス・スターを
 戦闘機で攻撃に行くシーンです。
 この攻撃において、
 要塞基地の心臓部に爆弾を落とすため、
 ルークと仲間たちは、
 最新鋭戦闘機の照準器を使い、
 標的への爆撃を試みますが、
 何度も、失敗します。
 しかし、タイムリミットを目前にして
 あと一度のチャンスに追いつめられたとき、
 耳元で、師のオビ・ワン・ケノービの声が、ささやきます。
  ルーク、フォースを使え。
 フォースとは、人間が本来持っている不思議な力のこと。
 そして、この声によって目覚めたルークは、
 照準器を捨て、自らのフォースを使い、
 要塞心臓部の爆撃に、見事に成功するのです。
 しかし、このシーンの本当のクライマックスは、
 ルークが、爆撃に成功するところではありません。
 本当のクライマックスは、
 ルークが、照準器を捨てるところなのでしょう。
 なぜなら
  何かに頼る心があるかぎり、
  我々の内なるフォースは、
  決して、現れてはこない。
 このシーンは、
 そのことを教えてくれるからです。
 2003年8月4日
 田坂広志

感想

私の会社には、
「科学と心のバランス」
という言葉があります。
科学だけでもいい店は作れず、思いだけでもいい店は作れず、その両方をバランスさせる事が重要であるという意味です。
外食に限らず、仕事は「科学」で突き詰めて
最後は「心や肌」で判断するという実感を私自身持っています。
外食のお店を運営する上で一番大切なことは、「来店客数予測」をし、
その客数に応じて適正な人員を揃え、作業割り当てを行う事です。
来店客数が少ないのに、従業員が多いと人件費を無駄に使いますし、
来店客数に対して従業員数が少ないと適正なサービスを行う事ができません。
このバランスを取る事が、外食店長にとって難しいマネジメントの一つです。
この来店客数を予測する時に使うものは、前年同日の来店客数実績、ここ数ヶ月のトレンド、イベント情報、天候、ここ最近の競合店の出店状況等の科学的な情報が基礎です。
では、この科学的な情報のみに頼って、来店客数予測が出来るかというとある程度はできますが、
何かもの足りない部分が残ります。
店長経験を積んでいくと不思議な感覚を身に付けることが出来ます。
自宅からお店に来るまでの街の空気でその日の売れ行きが分かったり、
休みの次の日にお店に入ると前日の売上や営業の空気が読み取れて、その後日報を確認したり、メンバーの報告を聞くと大体当たっているということが起こったりします。
特に、店長が休みの日に、メンバーが店長に報告せずに、クレーム対応をした次の日の店の空気は重く、
何かあったのではないか?
と思ってメンバーに聞くと、実際にお客様からのクレームがあったり、従業員間での問題が起こったりしていたということが何度かありました。
本当に不思議です。
これは経験を積まなければ体得できない「暗黙知」であると思います。
来店客数予測をする時、もちろん科学的データを元に予測しますが、その日の営業イメージをし、人員配置・作業割り当てを考える時、
最後の最後ゴーサインを出す決め手はその日肌で感じる
「空気感」
です。
これが、外食店長における「フォースを使う」という事なのだろうと思いました。

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2008-04-23 | Posted in |---田坂 広志No Comments » 
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